マー君(原作)
<13>

ピッ。

携帯電話の通話を切った勇気は怯えていた。

微かだが、早紀の叫び声が聞えた。

それに――。

今から行くね。

そう聞えた。

ひび割れた声で告げられ、一方的に電話を切られた。

その声は明らかに早紀の物ではなかった。

何か恐ろしい物の声だった。

死神の声のように暗く、引き寄せられるような――。

「な、なんなんだよ、これ?」

携帯を下ろし、見つめる。

折りたたみ式の最新の携帯電話だ。

黒い柄に手から滴る汗が光る。

「じ、冗談、だろ? これ」

自分の部屋のベットで寝転がっていたが、今やそれどころではなかった。

ベットから降り、散らかった部屋の真ん中に立ち、キョロキョロ周りを見回す。

勇気の部屋はドアから正面に小さな窓があり、右壁にはベットがくっつけられており、左側には液晶テレビが低い棚の上に置かれている。

それにドアのすぐ左手に背の高い艶のいいクローゼットが置かれており、窓から差し込む夕日が茶色のそれを小金色に輝かせていた。

「早紀……いったい何が――」

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