淡い初恋
学年一の才色兼備女と学年一の眉目秀麗男。もし、私達が付き合ったら注目を浴びるお似合いカップルだと思う。だけど、彼は私のことなんて眼中にないみたいだった。

私は常に彼を目で追った。早坂病院の娘だという名目だけで私には常に下心を持ったクラスメイト達が群がってきた。「ねぇ、玲奈って呼んで良い?」「うん、良いよ。」「ねぇ、今日合コンやるんだけど来ない?男性陣がみんな玲奈目当てなんだよ。」「悪いけど興味ない。」と言い放つとトイレに向かった。その時、背の小さくて大人しいあるクラスメイトとすれ違った。
大人しくていつもどこかおどおどした女、高梨希。千堂くんの隣の席に座るバカな女。漢文の授業で、論語の訳をまともに答えられず、隣の千堂くんが代わりに答えた。なぜだか、彼女を見るたびに癇に障る思いがした。でも、この頃はまだそのなぜに気づけないでいた。

廊下に出ると、「ねぇ、やっぱり玲奈がいないとみんな嫌だってー。」としつこく言ってきた。あぁ、うざいなと思い、ふと視線を横に反らすとあの千堂龍之介と目が合った。え!?千堂くん・・・。私は自分を見てくれたことに嬉しくて微笑むと彼はシカトし、何事もなく去って行った。

なにあれ。

「ねぇ、玲奈。今日の合コン行こうよ~。」あー本当にうるさいなと思った瞬間、彼の去っていく背中に向かって「あ、良いね!行く行く!」と私はわざとらしく応えた。

何よ、あの態度。本当に興味関心のある女なんていないんだ。噂で聞いた。彼には好きな女が一人もいない。絶対、私が彼をモノにするんだから・・・。
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