消えた同級生【玩具の女編】
「…お母さん、何で私を産んだ後、太門さんと結婚しなかったの?」

「…え?」

私はずっと聞きたかった事を聞いてみた。

生き返った私に、怖いものなんかない!

小さいときから父親がいなかったその謎を知りたかった

「嫌だったから!」

「えぇ!?」

そんな答えに私は思わず振り向いてしまった。

お母さんはニッコリ笑う

「あんなお父さん、嫌じゃない?」

「…確かに、父親向きじゃないけど…
じゃあ、何で産んだの?」

お母さんは嬉しそうにクスクスと笑う

「太門の人生を、縛りたくなかったの…
私はどうしても産みたかったけど、私があなたを産む事で太門は一生縛られる事になるから、だから…」

「だから?」

「太門の前から消えた」

「…」

お母さん…

「一人で産んで、一人で育てるって決めたから。」

「…太門さんの為に?」

「別にそういう訳でもないけど、若いのに責任が重いでしょ?逃げられるのが怖かったの…だから、先に逃げたの。」
< 332 / 369 >

この作品をシェア

pagetop