キミと生きた時間【完】
「里桜は今日、お母さんにSOSを発したんだ。助けてって叫んだんだよ。僕たちに、手を伸ばしてくれたんだよ」
お父さんの言葉に唇が震える。
「その手を僕たちは、きつく握りしめてやるんだ。僕たち親に引っ張り上げる力はなくても、握りしめてやることならできる」
「……えぇ」
「僕たちはいつだって里桜の味方でいよう。どんな時でも、僕たちが里桜を守るんだ」
「そうね。お父さんのいうとおりだわ」
お母さんが涙を指で拭いながら優しく微笑む。
その時、悟った。
お母さんがいつも笑顔でいた理由。