キミと生きた時間【完】
『よくこんな状況で笑っていられるよね……?娘がいじめられてるっていうのに!』
お母さんは、笑いたくて笑っていたんじゃない。
本当は、泣きたかったんだ。
悲しくて、張り裂けてしまいそうな気持ちを我慢して、微笑んでくれた。
お母さんがあの場で泣いたら、きっとあたしは自分を責めることになった。
お母さんを泣かせてしまった罪悪感で押しつぶされそうになっただろう。
だから、お母さんは笑ったんだ。
笑ってくれたんだ。
あたしが悲しまないように。
あたしを傷付けないように。
全部全部全部、あたしを想って。