キミと生きた時間【完】
「……っ……うぅ……」
口を両手で抑えつけていて漏れそうになる泣き声。
零れ落ちた涙が手の甲を伝う。
「それと、そろそろお母さんの手のこと、里桜に教えてもいいんじゃないか……?」
「いいの。この先もずっと、里桜にいうつもりはないわ」
「このままずっと、麻痺していることを黙っているのか?」
「えぇ。幸いなことに里桜は気付いていないから。それに、日常生活だって問題なく遅れているのよ?少し時間がかかるし、不器用になってしまうことも多いけど」
「でも、それじゃ……――」
お父さんがそう言いかけた時、あたしは部屋の扉を思いっきり開けた。