キミと生きた時間【完】
もちろんその後も、美奈子には何度も謝ったし、誤解だと必死で説明した。
田中君に対して好意がないことも、あたしから田中君に告白したわけじゃないことも、媚を売ったことがないことも。
美奈子を応援するといった言葉も嘘ではないし、今も応援するつもりでいる。
高校で初めてできた大切な友達である美奈子を裏切るようなことは絶対にしていない。
必死で弁解しても、美奈子の表情は晴れやかになるどころか険しくなっていく。
誤解を解ければまた仲良しでいられると思っていたけれど、そんな簡単な問題ではなかった。
あたしがムキになって弁解すればするほど、それがかえって美奈子のプライドを傷つけることになっていたことにその時は気付いていなかった。
美奈子はその日を境に、あたしを無視するようになった。
声をかけても知らんぷり。
目が合うと、嫌そうにさっと反らす。
時間が解決するまで待つしかないのかもしれない。
だけど、それから数日後、事態は急展開をむかえる。
突然、クラスの一部の女子から嫌がらせが始まった。
『アンタ、よく友達の好きな男にちょっかいだせたよね~。美奈子に謝んなよ!!』
『美奈子のこと傷付けといて、よく平気な顔して学校に来られるよね?』
そうやって罵倒されたことも、一度や二度じゃない。
今まで美奈子には何回も謝ったし、何回も誤解だって伝えた。
だけど、何を言っても美奈子にはあたしの言葉は届かない。
だから少し時間をおいてみようと思ったのに……。
美奈子を傷付けて、平気なわけない。
平気な顔で学校に来られるわけがない。
毎日、キリキリと痛む胃を抑えながら学校に来てるのに。
それなのに、誰もあたしのことを信じてくれない。
学校にいてもどこにも居場所がない。
クラスにいると息が詰まる。
喋る相手もいない。
この教室の中で一人ぼっちなのは自分だけで、周りからポツンと取り残されてしまったような孤独感が襲い、胸が張り裂けそうになる。
あたしって……いてもいなくてもいいような存在なのかな……?
もしそうなら、あたしがここにいる意味ってあるの……?
もしも。
もしもこの教室からあたしが消えたら、誰か気付いてくれる……?
いっそ、このままいなくなってしまおうか……。
そうすることができたら、どんなに楽だろう。
ふとした瞬間に、そんなことを考えてしまう自分が怖かった。