キミと生きた時間【完】
「病気のこと……、里桜に教えるつもりはなかった。今までも、これからもずっと。でも、仲良くなった友達が荒木っていうのが誤算だった」
「どうして教えてくれなかったの……?」
「知ってほしくなかったから」
「どういう意味?」
「そのままの意味。里桜には知られたくなかった」
「そっか……」
それ以上聞くことはできなかった。
黙ってうつむくあたしの頭を宇宙はグリグリと大きな手のひらで撫でる。
「……――だから、今日で会うのは本当に最後にしよう」
宇宙の声があまりも優しくて、抑えていた涙が溢れそうになる。
手のひらに爪の後が食い込むくらいにつよく握りしめる。