キミと生きた時間【完】

「父さんと母さんが亡くなった時、俺、どん底まで落ちた。父さんと母さんとの楽しい思い出ばかりが頭に浮かんだ。残された人にとって、楽しい思い出が多ければ多いほど悲しみも増えるって知ったんだ」


「宇宙……」


「本当は黙って里桜の前から消えるつもりだった。それなのに、結局全部バレてるし、こんな話してるし、俺、最悪だな」


「宇宙は最悪なんかじゃない!!」


「最悪だって。里桜を引き離そうとして、傷付けて、泣かせたくせに……俺、まだ離れたくないって思ってる」


宇宙の声が震える。


その声から、宇宙の悲しみを感じて胸が熱くなる。
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