キミと生きた時間【完】
「あたしに何か……用?」
こんなところを美奈子達に見られたら、またあらぬ誤解を受けて嫌がらせや陰口がエスカレートしてしまうかもしれない。
田中君に非があるわけではないのに、思わず素っ気ない態度をとってしまう。
「いや、あのさ……浅野さん、女子みんなにいじめられてるんだろ?」
いじめられてる……
いじめられてる……
……――いじめられてる。
田中君のその言葉が鋭いナイフのようにあたしの胸を突き刺す。
いじめられていると他人からハッキリと口に出して言われたのはこの時が初めてだった。
「何か俺が告白したせいって聞いたんだけど、それってマジなの?」
やめて……。
やめて、やめて、やめて。
頭がズシッと重たくなり、呼吸が苦しくなる。