キミと生きた時間【完】

「……――さっきから何だよ、その態度!!やんのか、コラ!」


「田中君、やめて!!」


田中君は顔を真っ赤にして宇宙君に掴みかからんばかりに大声を上げて威嚇(いかく)する。


「あぁ、田中ってアンタのことか」


あたしが声を上げると、宇宙君は納得したように呟いた。


「でかい声出せばビビるとでも思ってんの?弱い犬ほどよく吠えるって本当だったんだな」


「くそっ、言わせておけば……」


ふんっと鼻であざわらう宇宙君に田中君は怒りで唇を震わせる。


「あのさ、アンタが何をしようがなにを言おうがそれは勝手だけど……――」


わずかな前の後、宇宙君は真っ直ぐ田中君を見据えてハッキリと言った。


「里桜を傷つけたり泣かせたりしたら、絶対に許さない」


「宇宙君……」


宇宙君の言葉がじんわりと胸に広がる。


「お、俺が浅野さんのことを泣かすわけないだろ!!」


「さっき、里桜が泣きそうだったことに気付いてたか?アンタ、里桜のこと何にもわかってないんだな」


「そ、それなら、お前は浅野さんのこと全部知ってるっていうのかよ!?」


「全部とは言ってない。でも、アンタと違って里桜の気持ちを知ろうとしてる。分かろうって努力はしてる」


「バカ言うな!!!俺だって浅野さんの気持ちを……――」


「……――うるせぇな。黙れ」


田中君が大声でそう叫んだ瞬間、宇宙君は吐き捨てるように言うと、あたしの腕を掴んで歩き出した。





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