キミと生きた時間【完】
「……――おぉ。遅かったな」
「ごめん。ちょっと用ができちゃって」
宇宙君の隣に腰かけながらニコッと笑う。
「へぇ……。用って、男と?それとも女と?」
「どっちだと思う?」
「里桜のくせにもったいぶりやがって。ウゼー」
「ふふっ。宇宙君ってば、いじけてるの~?」
「バーカ。別にいじけてなんかいねぇよ」
ムッとしたように唇を尖らせる宇宙君の姿に胸がキュンっとする。
毎日のように神社で会っているあたしと宇宙君。
都合が悪い時は、前日に『明日はいけない』って話すのが二人だけの暗黙のルールになっていた。
今日も本当はすぐに宇宙君の待つ神社へ向かう予定だった。
美奈子がうちに来たいというまでは……――。
「……――里桜、今日何かあっただろ」
あたしの変化に気付いた宇宙君は心配そうにあたしの横顔を覗き込む。
宇宙君に気付かれないように、できるだけいつもと同じようにしていたつもりなのに。
「宇宙君には隠し事はできないね……」
あたしは今日あった出来事を宇宙君に話した。