本音は君が寝てから
この歳まで独りで居ると、人生に妥協を覚える。
このまま、独りで老いていってもいいと思っていた。
気楽で、気ままで、金さえあれば面倒見てくれる人も雇える。
だから何も困ることなんて無いって想ってた。
でも違う。
それはとても寂しいんだ。
それに気づくには、誰かと居る楽しさを知らなきゃ駄目だったんだな。
「好きだよ。気づいたら、もうとても好きになってた。毎日頭から離れないほど」
自分の中に、これだけ深い愛情があったことに驚く。
彼女を目の前にしては言えないけど、眠ってる間になら本音が言える。
「好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、綺夏」
俺はヘタレで、分かりにくい男で、君を不安にさせるのかもしれないけど。
信じていて欲しい。
ちゃんと君への想いはここにあるって。
そして願わくば、これからもずっと一緒にいて、俺が自分でも出すことの出来ない感情のすべてを、君に引き出して欲しい。