本音は君が寝てから
「……寝たのかよ」
がっくりと肩を落とす俺。
せめてちゃんと返事をしてから寝て欲しい。
ため息をついて家路についた。
俺の家はここからそう遠くない。
彼女をおぶったまま歩き出すと、カコンという音がした。
振り返ると彼女のパンプスが落ちている。
「やれやれ」
俺は彼女をおぶったままそれを右手で拾いあげ、また歩き出す。
か細い女性とはいえ、大人だからそれなりの重さはあり、何度か抱えなおしながらの帰り道。
しっかりしてそうって思っていたけど、案外間が抜けたところもあるんだな。
酔ってつぶれて寝ちゃって、無防備に俺に体を預けて。
背中から伝わる温かさに、胸まで温かくなってくるのはなぜなんだ。
これが、愛おしさってものなんだろうか。
眠っている、という安心感からか俺も気が緩んできていた。
「案外……可愛いな。思ってたよりずっと。初めて会ったときは、しっかりした美人ってかんじだったけど」
ポツリ、ポツリ。
言えなかった思いの丈を、足音のリズムに合わせて呟く。