本音は君が寝てから
この酔っ払いめ。
畜生、顔見て言うのは難易度が高い。
彼女を胸に抱きしめて、耳元に囁く。
「くそ、……好きだ、好きだ、好きだ!」
「私も大好きです」
「ホントにこんなおっさんでいいのか?」
「一目惚れです。話したらもっと好きになりました」
「……物好きだなぁ」
顔を近づけると大人しく目を閉じるから。
俺は再びキスの雨を降らす。
不本意だが、相本にも礼を言うべきなんだろう。
今度は二人で行くか。盆の辺りで休みを合わせて。
一人でいるより、その辺りは調整が大変だけど。
それさえも楽しいと思えるのが幸せって事なんだろう。
俺はヘタレだから、君を安心させることは難しいのかもしれないけどどうか信じていて。
「ん、……すう」
「着て寝ないと風邪引くぞ」
「んー」
やがて本当に眠ってしまった綺夏の唇にキスをして、耳元で囁く。
「こういう気持ちを愛してるっていうのかな」
大事な本音は、君が寝てから。
【fin.】