本音は君が寝てから
彼女の息を荒げさせるほどの深いキスを繰り返し、少しずつ肌を露にしていく。
時折激しい呼吸をしていた彼女は、きつく抱きしめると安心したように力を抜き、俺の頬を撫でた。
「ん、香坂……さん」
「なんだ?」
「好き」
「ん」
「……どうして言ってくれないの?」
潤みのあるくりっとした目でじっと見つめられる。
いやいや、肌も露出して触れ合うところまできてるんだから、言わなくても分かるだろう?
俺はそう思うのに、彼女にはそんな理論は通用しないらしい。
「いや、俺も……だよ」
「ちゃんと言ってください」
「改まって言うのは照れくさい」
「ここまできて照れなくても」
「ここまできて聞かなくてもいいだろ」
何故か意地になる俺たち。
勘弁してくれ。
せっかくのいい雰囲気がハンマーを叩き付けたかのごとく壊れていく。
「寝てるときは一杯言ってくれたのに!」
「じゃあ寝ろ、いくらでも言ってやるから」
「いやぁ、顔見て言って欲しいんです」