恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

迷い

私はそれから彼の車に乗せられたまま病院へ…
そして、そのまま逃げられない様になのか手を引かれて、産婦人科に連れて行かれた。

問診票には素直にあったこと全てを書いた。
尿検査があり、それから私は診察室に呼ばれた。

「相良さん。相良ひなさん」

もう逃げ場はない。諦めた私は覚悟を決めてゆっくりと中へ入っていく。

彼も私の後ろからついて入ってきた。

「お父さんですか?」

彼はそう看護師に問われ、一瞬ひるんだように口をつぐんだが、次の瞬間

「はい。そうです」

と嬉しそうに答えた。



「7w5d。心拍は確認できます。出血していたなら、
経産婦でももう少し早く来るに越したことはないですね。

3週間後にまた来てください。今度はおそらく出産予定日がわかるでしょうから。
それに出血した時は、様子を見るにしても、まずは病院に電話をして
医師の判断を仰いでくださいね」

「ありがとうございました」

彼は横で頭を下げた。

やっぱりそうだった。これをどう感じたらいいのかわからない。
でも私の中で新たな命が育っているのは間違いなく事実で、
順調に何事もなく時間が経てば、それがこの世に生を受ける…


「私、先生に聞きたいことがあるから、先に出ていてくれる?」

「うんわかった、外で待ってるね」

私は彼をドアの外へ追い出した。
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