恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「ひなさんらしいシンプルな部屋ですね」

そして、その視線はこの部屋に似つかわしくないベッドで止まる。

「ああ。これね。一人にしては大きいものね。
以前から持ってるもので、気に入っていたので捨てられなかったの。
他のものも全部」

私は結婚した時の家具が気に入っていて、捨てることができずに、離婚後もこの部屋に持ってきた。
不謹慎だと思う人もいるのだろうが、家具には罪はない。
確かに、このベッドで元旦那も一緒に寝たことはあるが、
それは昔から持っていたら仕方のないこと。

「一人で眠るには大きすぎますね」

「ええ。一人ではね。でも、つい最近までしょっちゅう
子どもたちがもぐりこんできたから、そうでもなかったのよ。」

これも本当の事だった。
この部屋に引っ越してきたとき、一応子ども部屋を別にしてみたが、まだ甘えたい年頃。
娘たちは何かと理由をつけて私の部屋で寝ることが多かった。
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