恋愛音痴と草食
もしかしたら?
……どーしたものか。

 私はパソコンに到着したばかりのメールを開いてため息が出た。内容は出来たら取引先の会社まで書類を直接持ってきてくれるだろうかとのことだった。折り返し連絡すると担当者はここ数日外をとびまくっていて話を聞く限り夜9時とか10時過ぎでないと帰社できないらしい。……そちらもお気の毒に。
 だが、どう考えても泊まりがけだ。

プリントアウトして課長に見せに行き相談する。

「……勤務時間ならいくらでもずらせるが、帰れないな」

「まぁ、そうでしょうね。ビジネスホテル使ってもいいでしょうか?」

「ネカフェって訳にはいかないだろ。それは当然そうする。上限あるが少しくらい越えてもなんとかするよ。ただ、ここの会社の場所って…」

私は歓楽街として名高いその地名を答える。

「だったよなぁ。仕方無い。もうひとりつけるか」
 課長がぐるっとフロアを見る。じきにターゲットが決まったらしく声をかけた。

「加賀見君!ちょっと来てくれ」

呼ばれてひろちゃんがスッと隣に立って課長の言葉を待つ。

「急で申し訳ないが明日この件で佐倉さんと行ってきてくれるか」

 課長に見せられたプリントアウトしたメールを見てひろちゃんが 明日…と つぶやいた。心強いから私はひろちゃんとだったら歓迎だけどひろちゃんの都合もあるからなぁ。

「やっぱり無理っぽそう?」
来てくれるとありがたいんだけどなぁ、と思いながら隣に立つひろちゃんの顔を見る。

「……いえ、大丈夫です」

「悪いな。シフトは調整して翌日は直帰で休みにしとくからな」
 休みと聞いてテンションがつい上がる。

「やった」
つい正直に口にしてしまい課長に笑われた。


よし。ちょっと頑張って仕事進めよ。仕事残したくないし。
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