恋愛音痴と草食


 昨日予想した通り向こうの担当者様と打ち合わせが終了した時刻は深夜帯だった。途中でホテル手配しましょうかと配慮下さったが、事前にビジネスホテルは予約していたから先方の申し出は辞退させていただいた。

 エレベーターホールまで見送ってもらって外に出るとすっかりビルの外はその様相が違っていた。ホテルまでの道はばっちり風俗街です!ってところでは無かったけど、それでもキャバクラとかは随所にあって所々在籍しているお姉さんたちの写真とか出ていた。

 例の事案はどうやら上手く説明できたようだしと緊張から解放され私は心が弾んで
「ひろちゃんさぁ、こっちの人ナンバーワンだって書いてあるけど私はこっちの人の方が好みかなぁ、どう思う?」
などと田舎者丸出しなというか完全に興味本意な無茶ぶりな質問を傍らの彼にする。

「…そうですか?俺はやっぱり彼女の方がいいですね」
まじめにひろちゃんはその無茶ぶりを拾ってくれた。

「あれ?やっぱり男の視点と私違うのかぁ」
少々オーバーに私は返す。

「…単に好みなだけでしょう?それにこういうところって顔だけよくても駄目みたいですし」
ハハハ、無表情なくせして何の話してるんだろ。

「ノリとかなんだろうねぇ。ま、酔客相手だといろいろ面倒くさそうだよねぇ。っと、お?」

私の目は明らかに風俗な店の看板に釘付けになる。

「ひろちゃん、黙っててあげるからせっかくだし行ってきなよ」

冗談めかして言う私にブリザードの視線が浴びせかけられた。うを。冷たい。

「行きませんよ」
言うなりひろちゃんはさっさと歩き出した。
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