お前のすべてを愛してやる【完】
そう言って斜め後ろの席に戻った男子。



阿部俊太(アベシュンタ)



3、4年の時に同じクラスで亜矢乃のことを悪く言ってたうちの一人だ。



(な、にこれ…。散々わたしのことキモイって言ってたくせに…。わたしのものは触りたくないんじゃなかったの…!?)



あんなにキモイと言われ避けられてきた自分に、今度は何事もなかったかのように話し掛けてくる。



言われたほうはずっと心に残るものなのに、言ったほうは全く覚えていない。



悩んでた、あの頃が悲しくなった。



死まで考えたあの頃。



けど、いくら相手が覚えていなくても言われたこと、されてきたことは事実。



亜矢乃の傷はそう簡単に癒えるはずもなかった。
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