【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「……あの」
学生くんは、遠慮がちに、点滴痕が腫れている私の手の甲を少しさすり、新しく挿しなおした箇所も、痣のようになっているのを見ながら、視線を上げた。
「あの…ですね……?」
「…うん?」
学生くんの髪は、黒くて硬そうで。
白衣の天使じゃなくて、リハビリを介助してくれるような、体つき。
私は、男の子の看護師さんが居ても、全然構わないとは思うし、この学生くんが居ても、特に不快とか、ないけど。
やっぱりちょっと、抵抗ある患者っていると思う。
婿様の奥様は、歯科医ですら女の人じゃないと嫌、って言ってたもん。
「倉橋さんは………」
学生くんは、言葉を止める。
きっと、聞いていいのかいけないのか、ギリギリな所の事を、聞きたいんだと、思う。
「…私は、いつもの赤い人が好きだよ。さっきのは、仕事の…ただの…得意先の人」
きっと。
こんな事を、聞きたいんだと、思った。