【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「蜜」
哲は、すぐに戻って来た。
手に、コーンポタージュの缶を二本持って。
「……大丈夫だから」
「…………」
学生くんから何を聞いたのか、すぐにわかったけど。
どう聞いたのかは、わからない。
私は。
怖かったのか。
それとも、寂しかったのか。
ベッドの上に、起こされて。
隣に座った哲の体温に、不覚にも。
すがりついた。
自分で、指先の震えが解る。
なんとかしなきゃ。
なんとか、しなきゃ。
体調の悪さと、入院の寂しさと、降って湧いたような男の、気味の悪い、想い。
「………哲が、いい」
狭山工販の長男は、嫌。
どうして私、好かれた?
いつ、好かれたの?
私、いつ、彼を好きだと言ったの?
そんな、思ってもいないこと、いつ伝えたの…?
名前も、知らなかったのに。