【続】朝の旋律、CHOCOLATE
出ちゃいけない?
どうして?
だって哲が。
…だって、哲が!
ぱちん、と。
眉間で何かが弾けたような、気がして私は。
立ち上がった。
怖く、ない。
全然。
うねるような恐怖は、妙な高揚に変わって。
血の気の引いた、怒り。
夏に、ニガウリの支柱にしていた棒を三本まとめて、握った。
長さは80cm、直径は15mm。
素材はアルミだから、死にはしないだろう。
階段の下。
工場との間に通る道で、狭山久志の喚く声が、した。
蜜に会わせろ、俺は何もしていない、邪魔をするな、蜜、蜜、蜜、と。
ほんと…呼ばないでよ、気持ち悪い。
耳鳴りが、ひどい。
突き抜けるような、ハウリングに、ぐらりと視界が歪んだけれど。
私は妙に冷静に、履き慣れたナイキのシューズに足を突っ込んで。
ドアを、開けた。