【続】朝の旋律、CHOCOLATE
手を出すな哲!と。
婿様の声が、聞こえた。
私に見えたのは。
道路に尻餅をついた状態の狭山久志と。
その正面で、熊みたいな婿様に全身で止められている、哲。
明らかに逃げる姿勢を取った狭山久志は。
階段を駆け下りる私をちらりと認めて。
酷く憎々しげに睨みつけると。
「…こいつと寝たのか!!!」
と。
そう、叫んだ。
だから、なに。
勝手な……事ばかり…!!
こいつがいるから!
こんな、男がいるから!
哲が、婿様が!
しなくてもいい、嫌な思い、しちゃったじゃないか!
私、仕事も哲も何もかも!
捨てなきゃならなくなったじゃないか!
何ひとつ、無くしたくなかったのに!!!
振り上げた、ニガウリの支柱。
憎々しげな、狭山久志の顔に、一瞬、怯えた色が走った。
「蜜!!!」
やめろ!!
と。
声はいくつか重なって。
私の、支柱を掴む手首は、誰かにきつく、掴まれた。