【続】朝の旋律、CHOCOLATE
わかりました、後でお邪魔します。多分、ピッチ合わせれば劇的にまとまりますから、って。
私は哲を見ないまま、請け負った。
微かに聞こえていた、アルトリコーダーの音は、感性も神経も鈍った、私の静かすぎる思考を立て直すのに、ちょうどいいかも知れない。
工場の奥に引きずり込まれたような哲を見ずに、部屋に戻り。
まず、壁のドアを。
閉めた。
ごめん哲。
信じてない訳じゃないよ?
哲は知らなかっただけ。
ほんとは私、あの電話。
ちょっと胡散臭いと、思ってる。
ほんとに哲の子供ならば。
もっと早くに……例えば“妊娠しました”みたいな時に。
言うんじゃ、ないのかな。
でも、でもね。
私がいたせいかも知れないけど。
“あんた誰?”って訊くからには。
あの電話のひとは、ちゃんと付き合ってはいなかったような、ひとなんじゃない?
私が、壊れたように、誘われるままに寝ていた、ギタリストみたいな、感じで。
哲が…
抱いた、ひとでしょう?