【続】朝の旋律、CHOCOLATE
ほんとは、行かないで、って言いたい。
二度、三度とかかって来た、彼女からの電話。
職場に何度も掛けてくるのって、どうなんだろう。
案の定、というか、思うつぼ、というか。
哲はひどく苛ついた目をしたまま婿様に謝って。
今夜、会って来ます、と告げた。
どうして哲に、過去の恋があるんだろう、とか、思う。
自分にもあるくせに。
むしろ、遼に揺れていたのを間近で見せていたくせに、哲の恋には嫉妬する。
なんて勝手なんだろう私。
「……待ってる、から」
哲は優しいから。
もしかしたら、帰って来ないかも知れない。
電話のひとが連れているだろう子供が、哲に似ていたら。
哲の中の冷静な部分が、その子を自分の子だと…認めてしまったら。
きっと、帰って来ない。
「…もしも…哲が、お父さんだったら私…」
口を噤んだ私は。
なんでもない、と、笑みを浮かべた。
もしも哲がお父さんだったら。
私、あいつと結婚するよ。
そうすれば、哲の心配事、半分になるでしょう…?
なんて、口に出しちゃ、駄目だよね。