【続】朝の旋律、CHOCOLATE



ほんとは、行かないで、って言いたい。



二度、三度とかかって来た、彼女からの電話。

職場に何度も掛けてくるのって、どうなんだろう。


案の定、というか、思うつぼ、というか。

哲はひどく苛ついた目をしたまま婿様に謝って。



今夜、会って来ます、と告げた。




どうして哲に、過去の恋があるんだろう、とか、思う。

自分にもあるくせに。


むしろ、遼に揺れていたのを間近で見せていたくせに、哲の恋には嫉妬する。


なんて勝手なんだろう私。






「……待ってる、から」


哲は優しいから。

もしかしたら、帰って来ないかも知れない。

電話のひとが連れているだろう子供が、哲に似ていたら。


哲の中の冷静な部分が、その子を自分の子だと…認めてしまったら。




きっと、帰って来ない。




「…もしも…哲が、お父さんだったら私…」


口を噤んだ私は。
なんでもない、と、笑みを浮かべた。



もしも哲がお父さんだったら。







私、あいつと結婚するよ。


そうすれば、哲の心配事、半分になるでしょう…?



なんて、口に出しちゃ、駄目だよね。




< 258 / 422 >

この作品をシェア

pagetop