【続】朝の旋律、CHOCOLATE
そこにいてね、帰っちゃやだよ?
食べ残しだけど、サンドイッチあげるから、ちゃんといてね?
思えば。
部屋に入ってて貰えば良かったよね。
息が白くなるほどの寒さの中、四時間も、階段に放置してたのに。
…………頼んでないけどね?
角を曲がって。
緩やかな下り坂の、真っ直ぐ先に。
街灯の光にもそれと判る、赤い髪を、見つけた。
私は、真ちゃんに引き上げて貰ったままの、すっきりとした感覚で、小走りに進む。
私に気付いた哲も、少し歩を速めて。
少し笑ったように、見えた。
「…お帰りなさい」
「……うん」
端から見たら、きっと可笑しかったと思うけど。
歩道の真ん中で、勢い良く飛び付いた私と。
抱き上げんばかりに受け止めた、哲。
いい大人が、道の真ん中で、キスを交わすとか。
恥ずかし過ぎるんだけれども。
求めたのは、私だった気が、する。