【続】朝の旋律、CHOCOLATE


「…良かった、ちょっと元気になってる」



私と哲とは、ちょっと身長差がある。

私がどれだけ背伸びしたって、哲が真っ直ぐ立っていたら、キスなんか、出来やしない。



だから。

私の“キスしたい”という希望は、言葉に出さなくても通じたという事。

更に言えば、哲の“了解”も、私が抱きつく前に、得られていた、と…いう事。



私が求める体温を、私の欲しいタイミングで。


もしかしたら今だけは。

哲が求めた体温も、哲の欲しいタイミングで、あげられたのかも知れない。





「旦那が、いたよ」

「…えぇ!?」



私たちは、手を繋いで。
私たちの部屋に、帰る。

緩やかな登り坂を、ゆっくりと。



「…離婚、したばかりの旦那」


問題の子供は、1歳2ヶ月。
まかり間違ってたとしても、俺じゃない。

俺じゃない、けど…


旦那の…でも、なかった。


と。

哲は、不快なような、憐れむような。

なんとも複雑な目で、小さく息を、ついた。




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