静かな涙【完】
私がバスルームから出ると、既に浩司は着替え終わっていた。




『…どうだった?大丈夫?』




「…うーん…ちょっと怒ってるみたい…昨日、夜電話放置してたから…」




そう言って浩司は困った様に微笑んだ。





『…そっか…』




私も小さく呟くと、着替えの準備をする…。
着替えと言っても昨日と同じ服なんだけれど…。




「それより…」




浩司の言葉で、私の手が止まる。





「…真弓が泣いてなくて良かった。」
そう言って、浩司が微笑んだ。




『…泣かないよ…私は…十分幸せな時間を過ごせたから…』
そう格好付けて、無理に笑おうとしたけど…




ちゃんと笑えなかったから、私は下を向いた。





「…ありがとう。真弓…。俺もだよ。」
そう言って、浩司は背を向け、テレビを付けた。





浩司の肩が小さく震えている気がした…
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