空の下の約束
あの後先生は呆れたのか、深く追究することなく私の一週間の入院と、入院中ユックリ静養するようにと言い残して消えていった。





そして…

ここ6人部屋の一番奥に私がいるって訳で…


本当なら飛び出したいくらいだけど、まだやらなくてはいけないことがある。


幸いなことに事務の仕事をしている会社からは”一ヶ月静養してその後頑張ってもらう”と言う優しい?言葉をもらったし。


「一ヶ月なにしようかなぁ~」


五階の窓から入る心地いい風にゆったりとした気分に浸っていた。
 

「気分はどう?」


風と同じように耳に心地よい声が響いた。


「とってもいい感じ」


そういって目を開けると目の前に星野先生がにこやかに立っていた。 


「先生の言った一週間まであと3日…指折り数えて待ってますよ」


「そんなに退院したい?」


「一ヶ月の休みをもらったけど病院じゃなくてもっと素敵な場所で過ごしたいですよ」


「アハハハハ、そうだね、もっと心身ともに安らげる場所がいいよな」


そういいながら私の隣にたった。


「いい風だね。本当気持ちがいい」


隣を見ると目を瞑った先生の横顔。


目鼻立ちがハッキリしてて、サラサラの髪。モテるだろうなぁ…


ダメダメ、見とれてどうするのよ!


頭を切り替えて先生に話しかける。


「星野先生?何か用があって来たんじゃないの?あれ以来顔見せなかったし」


「ん?顔見にきただけだよ。主治医なのにナカナカこれなかったからね。ごめんね」
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