空の下の約束
星野先生はあの日から毎日様子を見に来た。忙しいピークは過ぎたと言っていた。


そして待ちに待った退院の日。いつもより早く目が覚めて、外を眺めると朝焼けで空がピンク色。


昨日受けた検査でOKをだされ今日退院。


ほとんど眠れなかったけど、そんな事どうでも良かった。


早く行きたい場所もあったし、なにより監獄みたいな場所から出られることでうれしさがこみ上げてくる。


「早く時間が過ぎないかなぁ~」


そっと呟いてみても時間は過ぎるわけでもなく…


あっ、病室をでた所にデイルームがあったけ?自販機もあったから飲み物でも買ってこようかなぁ。


周りの皆を起こさないようにそっと病室をでた。


まだ5時前ということもあってナースも患者も歩いていない。


ナースステーション前を通らなきゃならないけど飲み物買うくらいならいいよね。


私今日退院だし。


そう思いながらナースステーション前を通り過ぎようとしたときナース達の会話が耳に入ってきた。


「ねえ、今日退院の飯田美空さん知ってる?ご家族一回も来なかったよね…」


ドクン!


「あのキャバ嬢やってたって?噂だとナンバーワンだったらしいよ」


えっ?


「運ばれてきたとき派手な格好してたもんね。一緒に星野先生と綾部先生が居たのも驚きだったけど」


これなに?夢?


なんで私の話?
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