空の下の約束
そこに立っていたのは星野先生だった。


私が泣いているのを見た瞬間顔色が変わった。


「いったいどうした?何があった?」

真剣な顔で問いつめられ私は咄嗟に走りだしていた。


星野先生の声を聞きつけ、出てきたナースは私を見るなり目をそらして何やら他のナースと話している。


「飯田さん!走っちゃいけない!美空ちゃん!」


後から星野の声が聞こえる。


それでも足は止まらない。


私なんで逃げてるの?


なんで泣いてるの?


泣かないと決めたのに…


人なんて…こんなもんだと知っていたのに…


病気のせい?


そうだ!病気のせいだ!


「ハア…ハア…ハア」


どこをどう走ったのか薄暗い廊下に一人立っていた。


「ハア…ハア…ここ…どこ?ハア…」


膝に手をつきあがった息を整えようとした。


ドクン!


えっ?
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