どこからどこまで
 あたしにとっては"普通" なのだが。いや、あたしの"普通"がズレているのか。


「うーん…小さい頃から仲よかったし、高校の頃もよく会ってたしなあ……。だから仲いいのかな?頻度の問題?」

「高校の頃?よく会ってた?初耳だわ、それ」

「そうだっけ?センターの勉強とか一緒にしてただけなんだけどね」

「あれ、3つ年上じゃなかった?」

「うん、でも一浪だし」

「あぁ、そっか。あたしと同い年なんだっけ」

「そうそう」


 食べ終わったお弁当をしまいながら、ふと思い出した。

 カラオケ行かなくなったこと、いちおう翔ちゃんにも言っとかなきゃ。

 翔ちゃんへの個人ラインを開く。それを覗き込んで見ていたさこねぇがトントンとあたしの手のこうをつついてきた。


「ねぇ、さな」

「んー?」

「やっぱり変だよ」

「変…」

「変っていうか…下の方が心に変わっちゃうみたいな?」

「恋?」

「正解」

「誰が上手いこと言えと」

「言ったつもりもないけどね~」


 少し馬鹿っぽいやりとりをしながらも『今日やっぱりカラオケなしになったから16時過ぎには帰れる』と翔ちゃんにラインをとばした。やっぱりそれを見ていたさこねぇはジトッとした目であたしを見る。


「やっぱりさ、すきなんじゃないかなーって思うんだよね。あたしは」

「すきって、誰が?」

「さなが、しょーちゃんを」

「それねぇ…」

「話聞いた分だと、もう付き合ってるようなもんだけどね」


 へぇ、"付き合ってるようなもん"、なのか。あたしの日課は。

 生まれてこの方カレシなんてものとは全く縁のないあたしにとって、そういったことを理解するのはとても難しい。

 あたしにとっての日常は、恋愛経験のある人の考え方によれば恋愛沙汰に早変わりするのか。妙な気分だ。

 否定しきれないのも、事実だけど。
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