恋愛ターミナル

最低、最低っ。そりゃ、そういうこと、ずっとしてないとは思ってたけどさ!
でもそれは、毎日疲れてるんだと思ってたし、私からなかなか誘うことなんて怖くて出来なかっただけなのに。


もう悔しいやら裏切られたやらで、とうとう涙腺が決壊した。

だーっと流れ出る涙に自分でもびっくり。でも、私以上に驚いた顔してるのは徹平だ。


「……り、凛々? なんでそーなるん……」
「てっ……てっぺーの裏切り者っ。無神経っ」
「いてっ! ちょ、落ち着けって」


片方の手で、思い切り肩を叩く。
今まで我慢してた想いとか、怒りとか、悲しみとか、全部全部込めて、力の限り。

今まで一度も徹平に手なんかあげられたことのない私は、当然この状況でもやり返されたりしないわけで。
自分ばかり徹平を殴っていても、一方的なことが逆に虚しくなってくる。

最後に力なく、トンッと拳を振りおろし、そこに額をつけて俯いた。


「――バカ」


ぼそっと吐いて、沈黙する。
俯き、閉じていた瞳をゆっくり開けても徹平はまだなにも言わない。


――ずっと黙って、一体どんな顔してんの?


不意に思って顔を上げると、澄んだ瞳が私を映し出していた。
そのまっすぐな目に、咄嗟に顔を逸らす。


「……あれ?」


横を向いた視界に広がる景色が、懐かしいものだと今気がついた。

だいぶ古ぼけた民家。電柱に掲げられた看板。小さな公園、その前にある手押し信号。
その先をまっすぐ歩くと見えてくるもの――。




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