恋愛ターミナル
「高校……?」
遠くに見える校舎を捕らえて、徹平を見た。
徹平はまだなにも言わないで、ただ笑みを浮かべるだけ。
あまり遠くはない場所にある高校だけど、卒業してから一度も近くに来たことはなかった。
すごく、懐かしい。
友達とこの道を歩いて、地下鉄に乗って。
なんだかタイムトリップしたような感覚になっちゃう。
だんだん近づく高校に、なんともいえない緊張感が走る。
そのまま歩き進め、ある場所で徹平がピタッと足を止めた。
――ここ。
このフェンス沿いの道は、つい最近夢で見た。
あの夢は、予知夢? こうして連れてこられることを予期していたものなの?
高校生のあの日の私と同じように、同じ場所で立ち止まる。
違うのは、徹平がフェンス越しじゃなくて、こっち側にいるってこと。
「ここで、おれ、凛々を捕まえた」
カシャン、とフェンスに手を突き出した、徹平の腕に捕われる。
両腕に挟まれた私は逃げられず、拘束されたまま。
まだ時間も早い日曜だから、辺りには誰もいない。
けど、こんな状況、しかも屋外で……!
部活の朝練とか、近所の人が通りがかって見られでもしたら恥ずかしい。
でもそれ以上に、すぐ横にあるしなやかな腕や、近くにある徹平の顔。そしてなにより、あんまり見たことない徹平の真剣な目に、ドキッとして恥ずかしさを忘れてしまいそう。
「底抜けに明るい凛々の笑った顔を、初めて見たときから忘れられなくて」