恋愛ターミナル

なによ……。なんで徹平が優位に立ってる感じになっちゃってるのよ。
元はと言えば、徹平が悪いのに……徹平が……。


――――本当にそうかな……? 徹平だけに非がある……?


「確かにおれが悪かったけど、でも凛々を裏切るようなことはしてない。凛々もそうだろ?」


自分だって同じだ。
言いたいこと、はっきり徹平に言わないで、自分の気持ちばっかりで。

結婚したいって想いばかりで、徹平に不満を感じては、杉中さんの言葉に揺らいだりして。


――結婚出来ればいい、ってそんな単純なことが叶えばいいわけじゃないはずなのに。


徹平の言葉に、私は「うん」って言いたかったけど、言葉を出したらせっかく止まった涙がまた簡単に流れ出てきそうで、ただ大きく頷いた。
徹平はそれをみて、そっと私の頬に手を添える。


「……ちょっと焦った。凛々が他の男といるの見て。先越されたかも――って」
「……そのわりに、昨日は追い掛けてこなかったじゃない」
「――や。意地っつーか……あいつにさ」
「意地? どんな」
「……慌てて追っかけたら、『ああ。こいつら今、危ういんだ』って思われると思って」


口を尖らせて言う徹平の言い訳を聞いてぽかんとした。


そんな子供みたいな理由で今朝まで迎えにこないだなんて。もし、あのまま杉中さんと私がどうにかなったら、ってそういう考えまでには至らないの?

でもきっと杉中さんのこと、私を信用して野放しにしたんでしょ。
それで、なに食わぬ顔で、先読みした梓の家に迎えに来て、“余裕”のあるとこ見せたかったんだ。


そこまで考えが行きつくと、なんだか笑いが出てきた。

冷静になれば、お互いにわかることが、視野が狭くなってわからなくなる。
9年目を迎えて、そんなことに気付いて失笑する。


「そのくだらない“意地”で、私はちょっと揺らいだし、疑いかけたんだけど」
「だから“今日”、ここに連れて来たんだろ?」




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