恋愛ターミナル
グイッと腕を引っ張られ、後頭部を優しく掴む。
朝日を受けながら、徹平は私にキスをした。
柔らかい感触が、なんだか久しぶり。久しぶりのせいか、すごくドキドキとする。
「てっぺ……ちょっと、ここ、外っ……」
「おれへの信用戻るまで、やめない。見られてもべつにいーし」
「見られてもって……私がよくな……っ、んん」
フェンスに押しつけられて逃げ場のない私に、徹平は唇を重ねては離し、視線を絡ませてまたキスをする。
外なのに、というスリル感と、大好きな人から得られる快感。
頭の中が蕩けそうになりながら、必死に徹平のシャツを手繰り寄せる。
「ふ。やっぱかわんねーな、高校のときと。可愛い」
その仕草のことを言ってるのかなんなのか。
わからないけど、コツン、と額を軽くぶつけてニコリと笑いながらそういわれると、もうドキドキとかじゃなく、キュウっと胸の奥を締めつけられる感覚が走る。
「……バカ」
「まだ言うか」
「信用はしなおした! けど……大事な日を忘れてたのは別問題なんだから!」
「大事な日?」
ほら、やっぱり! 記念日のことは忘れてる!
私は全く落ち着かない心音をごまかすように、上から勝ち誇ったように言う。
「昨日! 何の日か、忘れてたんでしょ?!」
「昨日?」
「私たちの、9年目の記念日だったのにっ」
赤い顔でキッと徹平を睨んだら、徹平は目をぱちぱちとさせた。
それから、「んー」となにかを考えるように俯いて、そのあと空を仰いでから顔を元に戻して口を開いた。