恋愛ターミナル
*
朝陽が差し込む部屋で、いつもと同じ時間に目を開けた。
昨日までとなにも変わらない。
ベッドから降りて、キッチンに向かって、コーヒーを淹れる。
テレビをつけて、今日の天気予報を見たら、流れてるニュースを耳で聞き流して支度をする。
着替えて化粧を終え、カップからまだ湯気が残るコーヒーを口に入れようとしたときだった。
「スバル! 今日おべんとーだってば!」
「なにっ!! 早く言え、早くっ!!」
わりと近くから聞こえた声に驚き、「あつっ」と思わず声が出てしまう。
――な、なに?
きょろきょろと部屋を見渡しても、当然誰かが居るわけじゃない。
近所から聞こえてきた声だ。
コーヒーをコトッとテーブルに戻すと、窓へと向かい、考えてみる。
私は一番端の部屋だから、隣は一軒。
隣は結構若い感じの女の人だったし、同じフロアは全部で4件だけど、子供なんて今まで見たことない。
「おれ、たまごやきあまいやつっ」
「時間ねぇのにわがままゆーな! ありがたくなんでも食え!」
また近くで聞こえてきた会話に、今度は自然と笑いが零れてしまった。
お父さん、頑張ってるなぁ。お母さんはいないのかな?
出社前にお弁当作るなんて、立派なお父さんね。
「ごはんはウルトラマンにしてー」
「ばかやろうっ。誰にもの言ってんだ!」
「スバルー」
「うるせっ。その呼び方やめろっ」
『スバル』って言われてる……。
でも最近珍しくないのかな? 夫婦間の呼び方を、そのまま子供も覚えちゃうっていう……。
「よし! ゆうと! 行くぞ!」
早っ。この短時間で出来るお弁当ってどんなの?
絶対、中身、ひどいことになってるでしょ……しかもたまごやき……きっと焼き立てをそのまま入れて蓋しちゃったんだな。
男の人が作るお弁当なんてこんな感じか、とぼんやり想像していると、テレビの時刻がいつも家を出る5分後を表示していた。
「やばっ。悠長に人のこと考えてる場合じゃなかったっ」
慌ててカバンを肩に掛け、いつもならゆっくりと飲み干すコーヒーも、今日は半分残して出社した。
朝陽が差し込む部屋で、いつもと同じ時間に目を開けた。
昨日までとなにも変わらない。
ベッドから降りて、キッチンに向かって、コーヒーを淹れる。
テレビをつけて、今日の天気予報を見たら、流れてるニュースを耳で聞き流して支度をする。
着替えて化粧を終え、カップからまだ湯気が残るコーヒーを口に入れようとしたときだった。
「スバル! 今日おべんとーだってば!」
「なにっ!! 早く言え、早くっ!!」
わりと近くから聞こえた声に驚き、「あつっ」と思わず声が出てしまう。
――な、なに?
きょろきょろと部屋を見渡しても、当然誰かが居るわけじゃない。
近所から聞こえてきた声だ。
コーヒーをコトッとテーブルに戻すと、窓へと向かい、考えてみる。
私は一番端の部屋だから、隣は一軒。
隣は結構若い感じの女の人だったし、同じフロアは全部で4件だけど、子供なんて今まで見たことない。
「おれ、たまごやきあまいやつっ」
「時間ねぇのにわがままゆーな! ありがたくなんでも食え!」
また近くで聞こえてきた会話に、今度は自然と笑いが零れてしまった。
お父さん、頑張ってるなぁ。お母さんはいないのかな?
出社前にお弁当作るなんて、立派なお父さんね。
「ごはんはウルトラマンにしてー」
「ばかやろうっ。誰にもの言ってんだ!」
「スバルー」
「うるせっ。その呼び方やめろっ」
『スバル』って言われてる……。
でも最近珍しくないのかな? 夫婦間の呼び方を、そのまま子供も覚えちゃうっていう……。
「よし! ゆうと! 行くぞ!」
早っ。この短時間で出来るお弁当ってどんなの?
絶対、中身、ひどいことになってるでしょ……しかもたまごやき……きっと焼き立てをそのまま入れて蓋しちゃったんだな。
男の人が作るお弁当なんてこんな感じか、とぼんやり想像していると、テレビの時刻がいつも家を出る5分後を表示していた。
「やばっ。悠長に人のこと考えてる場合じゃなかったっ」
慌ててカバンを肩に掛け、いつもならゆっくりと飲み干すコーヒーも、今日は半分残して出社した。