恋愛ターミナル
*
誰にも誘われなかった今日は、冷蔵庫の中が空っぽだったし、買い物でもして帰宅する。
まだ明るい時間に帰宅出来るのは、ちょっと得した気分。
夕陽を背に受けて、近くの安売りスーパーに立ち寄る。
一人暮らしだから、たくさんは要らない。
すぐに傷んでしまうし、そんなに冷蔵庫自体も大きくはないし。
必要最低限のものだけを、ぽんぽん、とカゴに入れていく。
タマゴをカゴに入れ、通路に一歩踏み出したときに、足に衝撃を感じた。
「?!」
「わっ」
よろけながらも、尻もちをつくほどではない。
それより、声を上げた相手が大丈夫かを確認しなきゃ。
「だ、大丈夫?」
「……う、うん……」
向こうはまだ小さな子供。
きっとよそ見して歩いていたんだと思って私は注意する。
「あのね。ここはビンとかガラスとか、危ないものもたくさんあるから、よそ見して歩いちゃだめだよ」
「……はい……」
しゅんとなって、ちゃんと返事を返すその男の子。
こんな見知らぬ大人に注意されても、素直に謝ることのできる子は、きっとご両親の躾もなってるんだと思う。
「ケガはない?」
「うん。ごめんなさい」
「そう。良かった。こっちもタマゴは無事だし、気をつけようね」
「タマゴ? おねえさん、あまいたまごやきってできる?」
「え? 出来るけど……」
「あまいたまごやき」? ていうか、この子の声、どっかで――。
誰にも誘われなかった今日は、冷蔵庫の中が空っぽだったし、買い物でもして帰宅する。
まだ明るい時間に帰宅出来るのは、ちょっと得した気分。
夕陽を背に受けて、近くの安売りスーパーに立ち寄る。
一人暮らしだから、たくさんは要らない。
すぐに傷んでしまうし、そんなに冷蔵庫自体も大きくはないし。
必要最低限のものだけを、ぽんぽん、とカゴに入れていく。
タマゴをカゴに入れ、通路に一歩踏み出したときに、足に衝撃を感じた。
「?!」
「わっ」
よろけながらも、尻もちをつくほどではない。
それより、声を上げた相手が大丈夫かを確認しなきゃ。
「だ、大丈夫?」
「……う、うん……」
向こうはまだ小さな子供。
きっとよそ見して歩いていたんだと思って私は注意する。
「あのね。ここはビンとかガラスとか、危ないものもたくさんあるから、よそ見して歩いちゃだめだよ」
「……はい……」
しゅんとなって、ちゃんと返事を返すその男の子。
こんな見知らぬ大人に注意されても、素直に謝ることのできる子は、きっとご両親の躾もなってるんだと思う。
「ケガはない?」
「うん。ごめんなさい」
「そう。良かった。こっちもタマゴは無事だし、気をつけようね」
「タマゴ? おねえさん、あまいたまごやきってできる?」
「え? 出来るけど……」
「あまいたまごやき」? ていうか、この子の声、どっかで――。