恋愛ターミナル
「う……ち、違うもん。同僚の話だもん」
『はいはい。ま、そーいうことにしといてあげるよ』
だめだ……もう完全に全部お見通しだ。
がくっと力が抜けて、なにも言えないでいると凛々が言う。
『結局さ。うまくいかないこと考えて悩んでんでしょ? だったらしちゃえばいいのよ』
「し、しちゃうって!! な、なにをっ!!」
『……亜美。違う想像してるでしょ』
「へ?」
『結婚よ、結婚! 結婚しちゃえば、いずみ夫婦とも末長い付き合いできて問題まったくないでしょ?』
けっ、結婚だなんてーーーーー!!
そりゃ、私だって結婚したいし、その相手がもはや好きになってしまった晃平さんだったなら言うことないよ。
でも、それ以前の問題に頭を抱えてるんだから、結婚(それ)が解決方法にはならないでしょ!
「凛々に相談したのが間違いだった……」
『はー? 私の貴重な時間を返しなさいよ!』
「こ、今度、お茶でもごちそうしまーす。じゃ!」
自分から電話で相談しておいて、凛々の声を遮って一方的に通話を終えた。
「ふぅっ」と息を吐いて、壁に掛けてあるカレンダーを見る。
――金曜日は明日。正確にはあと2時間で金曜日。
携帯のディスプレイの時刻を見て、明日を待ち遠しく思うと、手の中のそれが音を上げた。
声が出そうになるくらい驚いて、ドキドキとしたまま新着メールを確認する。
【明日、時間は合わせるから。場所だけど、うちにくる? オレが亜美ちゃんとこにいく?】
ばっ場所!! 全然そこまで考えてなかった!
この場合どうすれば……。
私の家に来てもらうっていうのも、悪い気がするし、勝手がきかないと料理もしづらいかな。大体そんなにいい部屋でもないし!
かと言って、晃平さんの家にいくだなんて……!
って、なにかある前提で妄想してる自分とかすごいイタイんですけど……。
ひとしきり百面相をして悶えたあとに、悩んだ私は携帯を手に、再びスピーカーからのコール音を聞く。
「あ……あのぅー……」
『今度はなにっ!』
ご機嫌ななめの凛々の声が脳天まで響いたのは言うまでもない。