恋愛ターミナル
「ただいまー」と口にして、パンプスを脱ぐ。
当たり前だけどだれからも『おかえり』なんて声は聞こえない。
カバンをいつものようにテーブルの脇に置くと、部屋の最終チェックを始める。
玄関は、いつも出しっぱなしの余計な靴はしまったからオーケー。
リビングも服や雑誌なんかが必ず落ちているところが、今日は見事になにもない状態。
もちろんテーブルの上もものひとつ置かずに、綺麗に拭いた。
水回りも、もともとそんなに汚れたままにしてないとは思うから、そんなに掃除しなくても大丈夫だった。
キッチンは洗い物もちゃんと拭いてしまってある。
「よし」
部屋の真ん中に立って呟いた。
それにしても、就職してから一人暮らしをして、男の人を家にあげるのは初めてだ。
いつも凛々か梓、いずみくらいしか遊びにこない。
「あー……一番楽しい年頃のはずだったのになぁ」
ベッドにあおむけに寝転がってぽつりと漏らす。
こうも男性に縁がなかった私って、もしかして女子力ない?
同い年の凛々はもうとっくに同棲なんかしちゃってるし、梓はいつもモテて、彼氏がいないときのほうが珍しいっていうのに。
……それもこれも、結局片想いを引き摺ってた自分のせいなんだろうけどさ。
だって、忘れようにも、いずみの彼氏だったから会わないことが出来なかったんだもん。
顔見ちゃったら、やっぱり完全には忘れられなかったし、仕方ないよね?
誰にいうでもないいいわけを延々と頭で繰り返していると、カバンの中の携帯が鳴った。
ガバッと起き上がって、両手で携帯を包み込むようにして見る。