恋愛ターミナル

「じゃ、やる?」
「や?! やる?!」
「? うん。亜美ちゃんお腹すいたでしょ?」
「あっ……」


完全に変な女だと思われた……。

いや、もうそれもいまさらだ。考えたら先週、泣きじゃくってメイク崩れたひどい顔まで披露したわけだし。
もうこれ以上恥ずかしいことなんかない。


「今日、春野菜のぺペロンチーノにしようかなと勝手に決めてたんだけど、食べれる?」
「はい! なんでも大丈夫です」


気持ちを切り替えて、私は助手気分でキッチンに立つ晃平さんの隣に並んだ。


「きっと、普段家で作ってるのとあんまり変わらないよ。まず、みじん切りしたにんにくは火をかけるまえのフライパンに入れて……あとは焦がさないように弱火で」
「へぇ……入れてから火をつけるんだ」
「あとはパスタ茹でるときは思いきって塩入れて」
「わ、こんなに?」
「でもこれが袋に記載されてる規定量なんだよ」


そんな会話を続けながら料理は進んでいく。

その間は、私も純粋に料理に没頭して質問なんかをすると、晃平さんもそれに丁寧に答えてくれた。


「茹で汁をちょっとずつ足す。オリーブオイルと分離しないように少しずつ。あと、量は好み」
「茹で汁! いつも捨ててたなぁ。なるほどー」


手際良く調理していく姿は、まるでここがどこかのお店じゃないかって思ってしまうほどだった。
いつも私が使ってるフライパンが、晃平さんの手にかかると特別なフライパンに見える。

キャベツやベーコンを入れて、菜の花も加えると、カフェで出てくるようなパスタが出来上がった。



< 33 / 170 >

この作品をシェア

pagetop