恋愛ターミナル
ああ、そうか。そうだよね。
晃平さんには、“友人に失恋した可哀想で面倒な女”でしかなかったんだった。
それを否定してまで告白する勇気はない。
あまりに簡単に心変わりしたって思われても仕方ない状況だし、言ってしまったことで、私だけじゃなくて、いずみ夫婦ともちょっと微妙になりそうだもん。
きっと、今日までのことも全部、ただ私を慰めてくれてのことなんだよ。
変に都合よく期待しちゃだめだ。
その証拠に、映画に行っても、今日家にきても、晃平さんは私に必要以上に近づかないじゃない。
「――はい! もう、大丈夫ですから」
「……そう……」
沈黙がつらい。
なんか喋らないと! なんか、軽くて盛り上がりそうな話題……。
必死で考えても、あまり共通の話題がない。
唯一思い浮かんだのが、この間のことで、不自然なほど大きな出だしで一気に話を振る。
「あ、あの、この間お店で食べたときのデザート! あれ、上に綺麗な糸みたいな飴みたいな……あれ、すごくきれいですねっ」
「ああ、シュクルフィレ?」
「シュク……??」
「日本語で糸飴っていうんだったかな。あれ、実は慣れるまで苦労したな」
あ、やっぱりあのデザートも晃平さんが作ってたんだ。
すごいな。女子であるはずの私は、敵いそうにない。
手元にあるキャラクターの小皿に乗る、半分のシフォンケーキを見て失笑する。
だって、こんなにふわふわで優しいケーキ、焼けないよ。