恋愛ターミナル

流れる水の音で、聞こえるか聞こえないかという声で。
でも、それをしっかりと聞いてしまった私。

だけど、聞こえないフリをして、ただ黙って座っていた。


「よし。じゃあオレ、もうそろそろ帰るよ」
「え……あ、そうですか……」
「ん。思ったより長居しちゃった。ごめんね」


そんなの、別にいいのに。
ていうか、全然長居だなんて感じなくて。むしろ、もうこんな時間? と、あっという間だという感じしかない。


「それじゃ。おじゃましました。おやすみ」
「……はい。気をつけて。おやすみなさい……」


パタンと閉まる玄関を、淋しい気持ちでしばらく見つめていた。

結局、今日もなにもなかった。

いや、なにかあるわけないんだけど。
でも、一人暮らしの女の子の部屋に遊びに来て、本当に料理だけ教えてくれて帰っていくって……。

それって、誰が聞いても『望みナシ』って言うよ。


「はは……は……」


狭い部屋のはずが、晃平さんが帰ってしまったらがらんとして、初めて広く感じた。
乾いた笑いが、しんとした室内に小さく響く。

どうしてこう脈のなさそうな人ばっかり好きになっちゃうんだろう。


――――私、絶対結婚まで、遠回りしてるよ……。




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