恋愛ターミナル


6時に仕事が終わると連絡が来ていた私は、少し早めにタワー内に訪れていた。
たくさんお店が立ち並んでるから、時間を潰すのには困らない。

夏物の服や、アクセサリー。可愛い雑貨を一通り見て回れば、6時まであっという間。

時間が近付いてきたときに、パウダールームで身だしなみのチェックをする。

普段はあまり選ばないスカート。それに合わせた靴も、まだ数えるくらいしか履いてない。
ちょっと、踵が痛い気もするけど、きっと一日くらい大丈夫。
そんな無理をしちゃうくらい、気合いが入ってしまってる自分が恥ずかしくなって、鏡の前の自分から目を逸らした。


どこで待てばいいかな。終わったら連絡してくれるとは言ってたけど。
気持ちを固めたら、少しでも早く会いたいと思ってしまう。


その気持ちを抑えきれなくて、気付かれないように、ちらっとお店を覗きに向かった。


晃平さんの、仕事姿はかっこいい。
今や、背中でもすぐに晃平さんを見つけ出してしまうのだから、恋ってすごい。


他のスタッフと並んでなにか作業している晃平さんの元に、ホールにいたショートカットの女の子が駆け寄った。


あ、あの子、この間の――ぱっちり猫目の可愛い子だ。


なにを話しているかなんて、もちろん店外の私にはわからない。
けど、表情はわかるし、女の子はとても楽しそうにしてる。
晃平さんは――――横顔だけで、はっきりとした表情は読み取れないけど、いつものように優しく接してるんだろう。

食い入るように二人を見ていたら、ぱちっと女の子と目が合った気がした。
でもすぐに彼女は顔を逸らしたから、気のせいかもしれない。


そう思った次の瞬間、その子が笑いながら晃平さんの腕に手を添えた。


軽いボディタッチと言えばそんなふうにも取れるから、彼女の真意はわからない。
でも、その手はなかなか離れることがなくて、そんな光景が苦しくなった私はお店から離れた。



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