恋愛ターミナル
……きっと、好きなんだよ、晃平さんのこと。
だって、晃平さんて優しいし、背も高くてかっこいいし。料理も出来て、絶対モテると思う。
もしかしたら、あの可愛い子は晃平さんの彼女なのかもしれない。
だから、あんなふうに、職場でも軽く腕に触れたり出来るのかも……。
もやもやとした気持ちを抱えた私は、『お店になんか行かなければよかった』と後悔しながら通路のベンチに座っていた。
あの子の存在が気になるけど、でも、今日は私を誘ってくれた。
その晃平さんを信じよう。
時計を見ると、6時半前。
もうそろそろかな。
そう思って顔を上げたときに、通路突き当たりの方から声がして、扉が開いた。
「澤口さんっ。せっかく早番ですし、どっか行きませんか?」
「今日は悪いけど約束があるから」
「前もそんなこと言ってましたけど。ほんとに約束あるんですか? あとで電話しちゃいますよ?」
「なんかあったら連絡してきてもいいけど――」
『オレに出来ることがあったら、いつでも連絡して』
――――前に、私に言ったのと同じ……。
私だけが特別だったわけじゃない。なんとなく、わかってはいたけど……けど、こんなふうに目の当たりにしたら、やっぱり冷静に受け止めることなんか出来ない。
あのホールの子が晃平さんに絡みながら、会話しているのを聞いてしまった私は、女の子と目が合う。
「あ……」と彼女が漏らしたことで、晃平さんも椅子に座る私を見て、目を大きくした。