恋愛ターミナル

「亜美ちゃん……」
「あ……」


視線を交錯させた私たちは、お互いに言葉が出ずにいた。
すると、晃平さんの隣にいる子が、やけに明るい声で言った。


「あれ? 晃平さんの彼女サンですかぁ?」


――どうしてそんな……ああ、そっか。きっと、晃平さんが“彼女がいない”ことを知ってるから、自信を持ってそんなこと聞けるんだ。

その子の質問に、晃平さんは短く答えた。


「――――いや、違うけど」
「ですよね。ついこの間『フリ―』って言ってたの、ウソかと思っちゃいました!」


そうよ。その通り。
私は晃平さんの彼女なんかじゃない。

それは自分もわかってたことなのに、晃平さんの口から聞いてしまうと――……。


「あ……の……失礼、します」
「え?」


晃平さんの声を無視して、思わず二人に背を向けて走り去ってしまった。

あれ以上あの場にいたら、あの子がなにか口にするたび、心が軋みそうだったから。
なんの涙かわからないけど、それを必死に堪えて足元だけを見て足早に歩く。

「なんかあったら連絡して」とかって、きっと優しいから誰にでも言っちゃうんだ。

もう。晃平さん、そんなことしてたらみんな誤解しちゃうよ。
こんなふうに単純な私みたいな子なら、簡単に。


「あれ? 亜美じゃない!」


横から呼ばれた私は、思わず足を止めて顔を上げる。





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