恋愛ターミナル
「ううん。噂の彼は今日一緒じゃないの?」
「噂の」って、亜美、一体どんな話してるのよ。
変なこと言ってないでしょーね!
「彼氏は、途中でどっか行っちゃいました」
「えっ」
「偶然旧友と会ったみたいで。ちょっとだけ、って行きましたよ。付き合いも長くなるとこんなふうな扱いです」
苦笑して言うと、晃平さんは少し黙ってから、にっこりと優しい笑顔で言う。
「じゃあせめて、とびきり美味しいものを作るから。少しでも笑顔になれるようにね」
……徹平がいるのに、他の男の人にドキッとしてしまった。
だって、すごく優しいし、徹平にはない大人感も醸し出してるし。
「亜美が羨ましい。こんなに優しい晃平さんが彼氏だなんて」
そうぼやいた私を目を丸くしてみたあとに、声を上げて笑った。
「あははっ。そう? 亜美はずっと一緒にいられる凛々ちゃんたちが羨ましいって言ってたけど」
「え? そんなこと言ってるんですか?」
「うん。それに、その彼氏も優しいんじゃないの?」
「えー……」
「だって、友達に優しく出来る人間は、絶対彼女にだって優しいと思うけど」
晃平さんの言うことに、否定する気持ちはなかった。
徹平は優しい。なんだかんだで、優しいのはわかってる。
友達に優しくて、大事にしてるところも、本当は好き。
友達の相談や誘いを全部断って、私ばかりを優先したら、きっとそれはそれでちょっと幻滅っていうか、不満に思ったりもするんだろうなぁ。
って……私、すごい自分勝手じゃん?
だってだって。でも、今日はまた別の話! 久しぶりだもん。約束したもん。
――楽しみにしてたんだもん……。