恋愛ターミナル
「今日、ごめん」
なによ。謝るくらいなら、初めからもっと私を大事にしなさいよ。
そっぽを向いて、返事をしないっていう子供じみた私の抵抗。
「頼みごとした手前、途中で抜けるわけにもいかなくて……」
その子供の私の機嫌を窺うように、徹平は上目遣いで言う。
「次は土曜も日曜も休めるようにするから」
「……休むだけじゃだめなのっ」
「映画行って、うまいもん食べて、凛々のしたいことしよう」
「――――絶対……?」
「うん」
「約束だからねっ」
念を押した私の顔を見て、ふっと穏やかに笑う。
徹平はちょっとこんな自由人なとこがあるけど、根底では絶対に私を裏切ったりはしない。そう私は思ってるし、信じてる。
だから、こういう些細なことも、結局は許してしまう。
「そいじゃ、これ、食うか」
目の前に掲げられた白いビニール袋。
「……どおりでいい匂いすると思った」
「しかも、凛々は半熟たまご付き!」
テイクアウトの牛丼を、二人で向かい合って食べた。
おひとりさまが得意な私も、「いくら牛丼が好きでも、牛丼屋さんには一人でいけない」。
昔、何気なくそう徹平に話したことがあった。
それから徹平は、私の機嫌を取るアイテムとして、牛丼(これ)を買って帰って来ることが多い。
「バカの一つ覚えみたいに……」
「あ?」
「……なんでもない」
友達に気を遣わせるのがイヤで、私を犠牲にしたんでしょう?
けど、その間、徹平は絶対頭ん中が私でいっぱいだったはず。
話も最後まで聞かないで一方的に電話切って、電源も落として、返事もしないでいた子どもの私。
それでも、そうやって私のことを知って、覚えていってくれてる徹平は、やっぱり私の中で最高のパートナーだと思う。
ねぇ、徹平。だからこそ余計に思うのよ?
徹平からのプロポーズが、一日も早く聞けたらなぁ……って。